幸いです、憐れむ者
幸いなるためにはどうすればいいのか。いや、そうやって結果から見てしまうと、何だか安っぽく聞こえてしまうので、原因から見ていこう。人のどのような行いが、幸せにつながるのだろうか。前回からの続きでマタイの福音書5章7節を見てみよう。「あわれみ深い者は幸いです。」なるほど、そういうことか。それでは、あわれみ深い者とは、どのような人のことを示しているのだろうか。そもそも、あわれみ深いとは、どのようなことか。いや、まずは「あわれみ」とは何であろうか。
そういえば、日本人なら一度は聞いたことがあるだろうけど、江戸時代には「生類憐れみの令」というのが、わずかな期間ではあったが存在した。戦国の殺伐とした雰囲気がまだ余韻を残していた時代、無益な殺生は慎むべきであるという精神論を世間に浸透させるために、時の将軍であった徳川綱吉が戌年の生まれということで、犬を保護するための法令を制定したから始まったと言われている。それが徐々に他の哺乳動物、果ては魚や貝や虫までが保護の対象になったということだ。動物を殺める者は処罰されたとも言われているが、一説ではさほど厳しくは守られなかったとも言われている。いずれにせよ、人々からの評判は悪く、綱吉没後すぐに廃止された。今の時代では、あまり考えられない発想に思われるが、ある海洋動物保護団体も、鯨を守るということで、捕鯨船を機雷で撃沈したことがあるくらいだから、動物に対する憐れみが極端な方に向いてしまうのは、古今東西変わらぬものなのかもしれない。
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