ギデオンの求めたしるし
遠い昔、ギデオンと言う男がいた。彼の時代、イスラエルの人々は再び神に対して背を向けるようになって いた。実際、ギデオンの父ヨアシュも異教の神バアルのための祭壇を持っていたと書かれている。おそらくイスラエル人が神の前に行った悪というのは、彼らをエジプトの地から連れ出した唯一絶対の神ではなく、連れ出した先の土地において神として崇められていた偶像を礼拝したことであろう。何と言っても、イスラエル人には荒野における前科があるではないか。彼らにとって不幸なことは、年月を経たことで、人々の記憶から昔のことが忘れられつつあったことかもしれない。
その背きのために、イスラエル人は他民族によって今一度迫害されることになったのだ。神はミデヤン人を 送り、イスラエル人を懲らしめ、罪に気付かせようとした。ミデヤン人はイスラエル人を襲っては、彼らの農作物を奪い取ったという。それというのも「彼らは国を荒らすためにはいって来た」(士師記6章5節)からだ。エジプト人はイスラエルの民を迫害し奴隷としたが、ミデヤン人は彼らの土地を荒らすためにやってきたという。自由を奪われる方を選ぶか、生活の糧を奪われる方を選ぶか……個人的にはどちらも遠慮願いたいところである。とにかくイスラエルの民はミデヤン人から身を避けるために、山の洞窟に隠れて住んでいたというから、あまり自由でもなかったようである。
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